日本、大学生の対ロ交流を7年ぶりに再開 ロシア・サンクトペテルブルクに15人派遣

日本外務省は8月28日、2019年以来中断していた日本の大学生らをロシアへ短期派遣する交流事業を再開したと明らかにした。 15人の大学生らが8月12日から20日までロシア第2の都市サンクトペテルブルクに滞在し、ロシア語の研修や現地学生との交流、大学施設の見学などを行った。

7年ぶりに再開された日露青年交流

今回の交流事業では、ロシア語などを学ぶ日本の大学生ら15人がサンクトペテルブルクを訪問した。 滞在期間は8月12日から20日までで、参加者はロシア語の研修を受けたほか、現地の学生との交流や大学の教室、学生寮などの施設を見学した。

参加者の募集は、日露双方が共同で出資する国際機関「日露青年交流センター」と、参加者が所属する大学が共同で行った。

日本からロシアへの短期派遣事業は、2020年に新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中断。 さらに2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まったことで、日露間の人的交流は事実上停止していた。

今回の再開は、2019年以来、およそ7年ぶりとなる。


⇒購入

なぜ今、ロシアとの学生交流を再開したのか

日露関係は、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本政府がロシアに対して制裁を実施するなど、依然として厳しい状況にある。

一方、日本政府はすべての交流を完全に断つのではなく、若者を中心とした人的交流については一定程度維持する姿勢も示している。

茂木敏充外相は7月24日の記者会見で、ウクライナによるロシア国内への攻撃が続いていることを認めながらも、ロシアでは一部地域を除き、治安情勢は全体として比較的安定しているとの認識を示した。

そのうえで、日露関係は厳しい状況にあるものの、特に若い世代に言語を学び、交流する機会を提供することは重要だと説明した。

日本政府は2025年9月、ロシアに対する危険情報を変更しており、今回の交流再開についても、ロシアへの訪問や留学を希望する学生の意向などを考慮したとしている。

安全対策を徹底

ロシアでは現在もウクライナとの戦闘が続いており、日本政府は安全面について慎重な対応を求めている。

今回の事業では、主催者である日露青年交流センターが日本の在サンクトペテルブルク総領事館と緊密に連携し、参加者の安全確保に必要な対策を徹底するとしている。

日本政府としては、政治・安全保障面で日露関係が厳しい状況にある一方、若者同士の交流まで完全に途絶えさせないことで、将来的な人的つながりを維持する狙いもあるとみられる。

日本政府とロシアの接触も徐々に再開

学生交流だけでなく、日露間では政府関係者や経済関係者による接触も徐々に再開している。

日本経済産業省によると、5月26日から27日にかけて、経済産業省通商政策局長と外務省関係者がロシアを訪問し、ロシア政府関係者や経済団体と会談した。

日本側はロシア政府関係者との会談で、ロシア国内で事業を続ける日本企業の資産保護について協議し、今後もこうした意思疎通を続けることの重要性を確認した。

また、ロシア経済や産業の動向、日本企業が現地で直面している事業環境などについても、ロシア側の経済団体と意見交換を行った。

今回の訪露団には、経済産業省通商政策局長の荒井勝喜氏や、外務省欧州局審議官の石川誠己氏らが参加した。

経済産業省の局長と外務省の高官がそろってロシアを訪問する形は比較的珍しく、日露関係が厳しい状況にある中でも、実務レベルでの対話を維持しようとする日本側の姿勢がうかがえる。

制裁と交流を同時に進める日本

ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、日本は欧米諸国と歩調を合わせてロシアへの制裁を続けている。 しかし、その一方で、人的交流や経済面で必要な意思疎通まで完全に停止しているわけではない。

今回の大学生交流の再開は、こうした日本の対ロ政策の複雑さを象徴する動きともいえる。

安全保障面ではロシアに厳しい姿勢を維持しながら、若者同士の交流や企業の資産保護など、実務的な分野では接点を残す。 日本政府が今後、こうした「対立しながらも対話を維持する」関係をどこまで広げていくのかが注目される。

出典:日本外務省、日本経済産業省などの発表をもとに編集

#日本 #ロシア #日露関係 #大学生交流 #サンクトペテルブルク #ウクライナ #外交 #留学 #国際交流