日本政府、過去最大規模の為替介入 それでも円は再び1ドル=160円に接近
日本政府が過去1カ月間に記録的な規模の為替介入を実施したにもかかわらず、円相場は一時的な反発の後、再び1ドル=160円の重要な水準に近づいている。大規模な円買いだけでは、円安の基調を変えることが難しい状況が浮き彫りになっている。
1カ月で15兆円超、過去最大の為替介入
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日本財務省は8月28日、7月30日から8月26日までの期間に、日本政府が累計で 15兆3993億円の為替介入を実施したと発表した。 ドル換算では約965億ドルに相当し、1カ月間の介入額として過去最大となった。
日本政府は今年4月末から5月初めにかけても約11兆7000億円を投じて円を買い支えており、 今年に入ってからの為替介入額はすでに27兆円を超え、年間ベースでも過去最大規模となっている。
異例の米国との共同介入
今回の介入で特に注目されたのが、米国が異例の形で参加したことだ。
7月31日、日本財務省と米財務省は協調して円買い介入を実施した。 日米がこのような共同介入を行うのは1998年以来初めてとされる。 日本側は、必要であれば今後も米国と協調した介入を行う可能性を否定していない。
当時、ドル円相場は一時1ドル=164円近くまで円安が進み、約40年ぶりの水準に達していた。 日米による介入後、円は急速に買い戻され、一時155円20銭前後まで上昇した。
しかし、その効果は長続きしなかった。 わずか1カ月足らずで円相場は再び159円50銭前後まで下落し、 介入によって得られた円高の大部分を失っている。
市場が注目する「160円」の壁
現在、市場関係者が特に注目しているのが1ドル=160円という水準だ。
日本政府は160円を正式な為替介入ラインとして設定しているわけではない。 しかし、過去数回の大規模な介入が、円相場が160円付近まで急速に下落した局面で実施されてきたことから、 市場では「160円」が事実上の重要な警戒ラインとして意識されている。
今後、円相場が160円を突破し、さらに一方向に急速な円安が進めば、 日本政府が再び市場に介入する可能性は高まるとみられている。
なぜ円買い介入だけでは円安を止められないのか
最大の問題は、為替介入が市場の需給を一時的に変えることはできても、 円安を生み出している根本的な要因そのものを取り除くことはできない点にある。
日本の金利は依然として米国より大幅に低く、低金利の円を借りて、 より高い利回りが期待できるドル建て資産などに投資する 「円キャリートレード」が依然として魅力を持っている。
さらに、中東情勢によるエネルギー価格の上昇は、日本の輸入コストを押し上げる可能性がある。 日本政府が財政支出を拡大する計画についても、財政やインフレへの圧力が強まるとの懸念につながっている。
次の焦点は日本銀行の利上げ
そのため市場では、日本が単純な財務省による為替介入だけではなく、 より包括的な政策対応に移行する可能性に注目が集まっている。
想定される政策には、
- 日本銀行による追加利上げ
- 政府による財政政策の調整
- 財務省による為替市場への直接介入
などがある。
日本銀行は7月の金融政策決定会合で政策金利を据え置いたが、 最近では日銀関係者から金融政策をさらに引き締める可能性を示唆する発言が相次いでいる。 市場では9月の利上げ観測も強まっている。
日本政府は「時間」を買っているだけなのか
円相場が再び160円を突破する場合、日本政府は難しい判断を迫られることになる。
為替介入によって円を買い支えることはできても、 日米の金利差など円安を生み出している構造的な要因が残ったままなら、 介入効果は一時的なものにとどまる可能性が高い。
今回、日本政府はわずか1カ月で約1000億ドルに相当する巨額の資金を投入した。 それでも円相場が再び160円に近づいていることは、 為替介入だけで円安の方向そのものを変えることの難しさを示している。
今後の焦点は、日本政府が再び巨額の円買い介入に踏み切るのか、 それとも日本銀行の利上げなどを組み合わせた政策転換に踏み出すのかという点に移っている。
もし円が再び160円を突破し、日本銀行が金融政策を変更しないのであれば、 日本政府は「巨額の資金を投入して円安を一時的に止めること」と 「円安そのものを終わらせること」の違いを、改めて問われることになりそうだ。